堤工業 株式会社登録番号:0120

 今回のピックアップ企業では、プラスチック切削加工、中でも薄物加工を得意とする堤工業株式会社の代表取締役、栗原良一さんにお話を伺った。
 栗原社長は3代目。創業者は栗原社長の祖父・三郎氏、2代目は栗原社長の父・武氏と家業を引き継いできた。以前の工場は自宅の隣にあり、栗原社長は祖父や父の働く姿を間近で見て、育った。工業高校を経て、大学の機械工学科に進学。家業とは別の分野の金属について学ぶ中で、金属とプラスチックを組み合わせてコラボできないか考えることもあったという。学生時代から家業の手伝いをしていたこともあり、自然の流れで同社に入社。父・武氏は職人気質で、息子の栗原社長に手取り足取り事細かに説明することはなく、自ら体験することで技術を修得。3年ほど現場を経験しつつ、納品も自ら行い、お客様と接する機会を持つようにしていたとのこと。現場での仕事に慣れてきたころから、徐々に営業系の仕事にシフト。2011年、当時はリーマンショックの影響で経営環境は厳しい状態だったが、栗原社長は父・武氏に「自分に会社を任せてほしい」と申し出た。最初は難色を示されたが、最後は息子のやる気を認め、2代目から3代目に経営をバトンタッチ。栗原社長は31歳の若さで社長に就任した。
 同社では、樹脂全般の加工を行っているが、ガラスの入った樹脂に関する引き合いが多いとのこと。特に、1mmもない厚さの薄い材料の加工を得意とし、0.2mmや0.3mmといった厚さの加工も行っている。同業者からの受注もあり、同社の技術力の高さには定評があるが、栗原社長は技術力に頼りすぎることを危惧し、製造業だけではなく、異業種との人脈も大切にしている。業歴が長く、古くからの取引先も多数あるが、インターネットからの問い合わせについても、先方が近隣の場合、社長が直接出向いている。Face to Faceでのやり取りを大切にし、取引先にはできるだけ顔を出し、お客様の懐に入り込み、信頼関係を構築できるよう心掛けている。様々な視点からの話を聞くことで面白いアイデアが生まれることもあるという。こうした地道な取り組みが奏功し、口コミから始まった取引が継続するケースも少なくないとのこと。
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得意とする繊維強化プラスチックの加工サンプル→


 先代から引き継ぎ、新たに始めたこととして、工場見学の受け入れがある。移転前の地域では、工場の立て替えができなかった。工場の老朽化問題の解消のため、平成27年9月に池上から西六郷に移転。現在地に移転後、工場が新しくなったこともあり、可能な範囲で見学を受け入れている。同社の工場見学は体験型で、見学者がプラスチック板の穴あけや面取りといった加工を体験する場面も用意している。大人数の受け入れは難しく、少人数のグループに限られるが、約2時間の時間を取り、じっくりと見学をしてもらっている。見学を受け入れることで負担は増えるが、「いろいろな人に見られると思うと自然と背筋が伸びる」「日ごろから整理整頓を心がけるようになる」といった効果があると、栗原社長は語る。
 また、同社は下町ボブスレーネットワークプロジェクトにも参加している。同プロジェクトに参加している同級生から、栗原社長にも声がかかり、参加を決定。同社の加工品は、電子機器メーカーや通信機器メーカーに採用されているが、製品内部で使われることが多く、消費者の目に触れることは少ない。そのため、下町ボブスレーのような消費者の目に触れるものの製造にかかわることで、従業員のモチベーションアップにつながるのではないかという期待があった。今後は、消費者の目に触れる製品を製造したいと考えており、近年、カーボン入りの材料(CFRP)が普及していることに着目し、加工のテストも繰り返し行っている。
 栗原社長が経営を引き継ぎ約5年。若き社長のもと社員が一丸となって誠心誠意、心を込めて日々業務に取り組んでいる。同社の今後の活躍が期待される。

※堤工業 株式会社(登録番号0120) の企業情報は、登録企業紹介ページをご覧ください。