株式会社 ヤシマ登録番号:0034

箕浦社長

 今回のピックアップ企業は、1934年の創業以来80年以上にわたり大田区の地で電池部品の製造を手掛ける株式会社ヤシマをご紹介。同社の代表取締役である箕浦社長に話を伺った。

同社の主力製品は、国内シェア6割を占める自動車用バッテリーキャップだ。年間約1億個を製造する。最新の3次元CADシステム(SolidWorks 2015)を駆使し、設計・解析を行い、部品加工から組立・検査まで自らが手掛け、顧客に納入しており、日本を代表する高級車にも使われている。

戦前にVベルトを製造し、上海や北九州などに支店があったが、戦時中は物質であるゴム材を東南アジアから輸入できず、一時操業を止めた。戦後は、2代目社長がゴムや樹脂の小さな会社を商社として興し、日本の成長期では最先端機器向け電池の樹脂部品を手掛け、顧客の要望に応える形で活躍し、常に新しい時代を切り拓いてきた。

しかし、全てが順風満帆にやってきたわけではない。バブル崩壊後から90年代後半にかけて、大企業である取引先が一斉に海外展開を進めた結果、売り上げが激減。コストで勝負するには製造の自動化しかないと考え、2000年ごろから主力製品をバッテリーキャップに特化し、徹底した生産合理化を進めてきた結果、現在では不良品が3年間に1個もないという品質レベルに達している。時代に合った顧客からの厳しい品質要求、価格要求に常に応えてきた結果、自動組立・検査設備、パッキン加工設備を開発するとともに、24時間完全無人化運転が可能なシステムを構築したのだ。

特色ある取組みはそれだけではない。2013年には、東京都大田区が開設した"中小企業向け賃貸集合工場"「オオタテクノパーク(OTP)」に入居し、70年ぶりの海外進出を果たした。箕浦社長はこう語る。「海外進出するにあたり、最初は右も左もわかりませんでした。進出前は、タイ・アマタナコン工業団地内の日系企業に金型を支給し、外注加工させることでタイの取引先に製品を販売していましたが、自社で現地生産・直接納入するチャンスと思い決断しました。」 "オオタテクノパーク"は現在、全ての賃貸ユニットが埋まっており、入居企業は顧客の現地調達ニーズに応えるべくタイを含むASEAN域内での取引を拡大し、多くの企業は部品輸入や配当など大田区内の本社の経営に貢献しているという。ヤシマでも2015年に入り、タイ国内だけでなく、インドネシアやインドとの取引も始まった。


現在、多くの企業の課題である人材確保や育成についてこう語る。「モノづくりよりもむしろ人づくりが大事だと考えており、社長に就任する20年以上前から社員教育を徹底してきた。人は促成栽培できるわけではないからだ。製造だけできる人間は不要と考え、成型や品質管理、営業や経営までできる人材をこれからも育てたい。」日本人だけでなく、本社の倍以上の従業員となったタイの人材教育にも力を入れる。「モノづくりから経営まで参画できる人材が複数いる企業が今後の理想」と言う。モノづくりだけでなく、人づくりにも力を入れる株式会社ヤシマの今後の動きに注目していただきたい。