東京メタリコン 株式会社登録番号:0047

関雅雄 会長

今回のピックアップ企業は、70年以上にわたり独自の金属溶射技術によって事業を展開する東京メタリコン株式会社をご紹介する。同社の取締役会長、関 雅雄さんに話を伺った。

同社の業務において核となるのが、社名にもなっている、「メタリコン」と呼ばれる金属溶射技術である。物の表面に微粒金属を吹きかけることで、酸化や腐食を防止するこの技術は、1919年にはじめて日本にもたらされた。先代は1927年に同業界に参入し、1939年、地域の企業、学校のバックアップのもと、大田区仲池上にて同社が創立された。現在の所在地である大田区京浜島へは、35年前に移転した。当時、京浜島は工業地として開発が進み、化学系会社を中心として進出していた。

11月で創業75年を迎える同社は、溶射技術を軸に、様々な事業を手掛けてきた。はじめは装飾品や電気スタンド、灰皿といった商品に加工を施していたが、戦後は工業製品が主流であった。現在は7割が橋梁への加工であり、その確かな技術力は、皇居の二重橋や関門橋、横浜ベイブリッジなどにも用いられている。こうした大規模な案件は関係省庁や公社から請け負っているものだが、最近では、個人宅の門柵への加工の受注も増えているという。

長い歴史をもつ同社は、業界の発展においても大きな役割を担う。2000年、防錆・防食溶射業者の組合「防食溶射協同組合」が設立されたが、関会長はその立ち上げにも関わった。全国の溶射業者28社からなる同組合は、技術向上や大型プロジェクトに対応する組織造りを目的としており、現在関会長は同組合理事の一人として業界の向上に貢献している。

関会長は同社において、社員の教育に何より力を入れてきた。同社には若い人も多く所属するが、一般的な技術取得には3年はかかるという。長い道のりであるが、関会長は「まじめにやっていれば、いつか報われる」ということを最近つくづく感じるという。

現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた準備で、受注は増加傾向にあるが、「その後の展開が重要である」と関会長は述べる。金属溶射はイニシャルコストが高く、採用されにくいためである。しかし、同技術は金属の寿命を飛躍的に延ばす。関会長によれば、塗料のみの場合、金属の寿命は30年ほどであるのに対し、メタリコンを施した場合、100年になる。この点について、「イニシャルコストがかかるが、長期的に見れば安くなる」と関会長は述べる。2020年以降、どのようにその技術を普及させていくかという点について、関会長自身が「それは今後の課題」と考えているものの、「それは現在社長を務める息子に委ねたい」と述べた。
 
 溶射という技術を軸に、自社と業界双方の発展に向け、時代に合わせた事業を行っている。大田区のものづくりを支えてきた関会長の情熱は、新たな世代へ引き継がれようとしている。