株式会社 タシロイーエル登録番号:0046

田代信雄社長

今回のピックアップ企業は、株式会社タシロイーエルの代表取締役、田代信雄さんにお話を伺った。

株式会社タシロイーエルは、現社長の父親(現会長)が昭和36年4月に創業。NC旋盤とマシニングセンターによる精密部品加工を得意とし、平成16年度および平成21年度に大田区「優工場」の認定企業となった。
田代社長は地元の工業高校卒業後、友人と輸入切り花の宅配を手がける会社「エレガンス」を経営していたが、30歳の時に父親を手伝う形で事業を継承する。「事業継承後、NC旋盤工作機を導入したものの、使い方のノウハウがありませんでした。近くの工場の職人さんに聞きに行ったところ、嫌な顔ひとつせず親切に何度も教えてくれました。この体験から、大田区の産業集積地であることのありがたさが分かりました(田代社長)」。

同社は航空宇宙部品、レーダー部品、X線装置部品、真空装置部品などを製造している。寸法公差10ミクロン以下の精密加工技術にも優れており、チタン、モリブデン、タンタル等の難素材の加工も手掛けている。「当社の強みは、どんな金属でも加工できることです。難しい注文に対しても、逃げずにやり遂げる姿勢が多くのお客様に喜ばれています(田代社長)」。
平成10年頃より宇宙防衛関係の部品を手掛けており、平成24年2月にJISQ9100およびJISQ9001の認証を取得している。現在では同社が製造する部品が「H-?A ロケット」や「はやぶさ2」に使用されている。「ロケットの部品などは厳しい寸法精度が要求されます。ものづくりの最先端に位置する人工衛星や宇宙探査機の部品加工ができることは、職人としての誇りになります」と田代社長は感慨深そうに話す。

また、同社は「モノづくりを通し、信頼される人間性をつくる」、「会社と社員がともに発展、繁栄を目指す」という経営方針をもとに、「企業も国も人材がすべてである」という考えで社員教育にも積極的である。「何でも言いあえて、お互い助けあえる環境にしたい」という社長の思いが社員全体に伝わり、若手従業員を中心に社内外の各種研修に参加しており、各種技能検定試験にも挑戦し、現在3人の職人が技能検定に合格している。「会社を自分でなくても運営していけるようにしたいというのが最終的な目標です。失敗しても良いので"どうして失敗したのか?"を自分で考えてもらい、失敗を糧に大きく成長してほしいです(田代社長)」。
「当社にはさまざまな団体や学校から工場見学の依頼がきており、できるだけ依頼を受けるようにしています。見学していただき、町工場の必要性や大切さなど少しでも知っていただけるようにと願っています。また、工場見学は当社にエネルギーを与えてくれます。見られている、期待されているという意識を改めて持つことができる良い機会となっています(田代社長)」。

同社は、「依頼された仕事は断らない。仕事を通して学んでいく」、「町工場はモノづくりの基盤産業である」という気概をもってモノづくりを実践している大田区を代表する企業であり、今後、益々の活躍が期待される企業である。