ダイヤ精機 株式会社登録番号:0102

諏訪貴子社長

今回のピックアップ企業は、ダイヤ精機株式会社の代表取締役、諏訪貴子さんにお話を伺った。
 ダイヤ精機株式会社は、現社長の父親が昭和39年に創業。自動車メーカー向けのゲージ・治工具製作を主たる事業としてスタートした。平成24年からは異業種への参入を目指し、翌年には機械、医療、電気といった分野からの受注を得た。
 機械分野では、工作機械を組み立てる基準となるゲージを作成している。このゲージには±1ミクロンの誤差しか許されない。穴に棒を通す際に物体の重さですーっと落ちていく場合の隙間は3?5ミクロン。1ミクロンの隙間で通す場合には、油がないと通すことができない。
「この加工の仕上げはハンドラップと言って職人が手で磨くしかありません。成功したよと言われた時は涙がでるほど嬉しかったです。お客様は5年がかりでできる会社を見つけたと言ってくださいました」。
 ダイヤ精機は異業種からの受注を得るために展示会でも工夫をした。今まではゲージそのものを展示していたが、それでは従来の取引業種からの引き合いしかない。そこで鉄のブロックに1ミリ、0.1ミリ、0.01ミリ、0.005ミリ(5ミクロン)の段差を付けて展示した。「5ミクロンの厚みは手で触ってわかる限界です。でも、5ミクロンは当社の加工の限界ではありません。当社では1ミクロンまで加工ができます。技術をわかりやすく見せることで新規分野からの受注を取り付けました」と諏訪氏は言う。同時に旋盤で切削加工した真球も展示した。ふつう切削で真球をつくると必ず切削した跡がのこる。しかし、ダイヤ精機が加工したこの球には全く跡が残っていない。多くの人が足を止めた。「どうやって作るかは企業秘密です」と諏訪氏は笑う。海外展示会への出展時には、医療分野で出展していた日系企業に営業して、受注を得たという。同社は医工連携の取り組みにも尽力している。鶴見大学歯学部から依頼を受け、研究用に歯を薄くスライスして断面を観察するため、0.1ミリ間隔で印をつけるゲージを作成した。このゲージは素材にクロムメッキした鋼材を使うことで当初予定していた半分の金額で作成することができた。
 同社の強みについて諏訪社長は次のように語る「品質と価格は当然あって、その上に対応力があります。一度お客様にどうして当社に発注してくれるんですか?と聞いたときに『ダイヤ精機さんは欲しいときに持ってきてくれるでしょう』と言ってもらいました。この強みは新分野に挑戦するときにも役に立ちます。大田区の企業には、自社の強みに気が付いていない企業も多いと思うので、もっと自社を研究して積極的にアピールして頂きたいと思います」。
昨年末には社員のモチベーションアップのために「ありがとう会議」を開いた。企業の会議は「なぜ、失敗したのか。どこが、誰が悪かったのか」ということに焦点があたりがちだが、ありがとう会議では「この加工があったから、後の加工がやりやすかった。ありがとう」などという感謝の気持ちを中間管理職から社員へ伝える。これが、また来年も頑張ろうという気持ちにつながるという。
 ダイヤ精機株式会社は、大田ブランドの掲げる「Only Ota Quality」を実践している企業の1社であることは間違いない。今後、ますますの活躍が期待される企業である。