嵯峨電機工業 株式会社登録番号:0077

防災訓練で活躍するストロングライト

 今回のピックアップ企業はニッチの領域で圧倒的なシェアを有する企業をご紹介する。嵯峨電気工業はハンディライトや仮設用ライトとして有名な携帯用照明ストロングライトを製造するオンリーワン企業である。

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 ストロングライトはこれまで鉄道会社や航空会社などで大量に採用されてきた。これら運輸業での整備部門では、夜間に車両や航空機を整備しなければならないことが多く、必携の用具となっている。さらに、その他の国内大手企業の多くの工場や中小の自動車整備会社などで幅広く使用され、産業界での普及率は極めて高い。また、2011年の東日本大震災以降、全国の地方自治体の間では防災対策用具として大変注目を集めている。
 同社は1960年に自動車整備用測定機器のメンテナンス会社「嵯峨電機工業所」として発足した。創業から6年後にはマルチバッテリークリップ(自動車のバッテリーとブースターを接続するハサミ型クリップ)やそれに接続するスターターケーブルおよびスターターキャディーを開発し、製造業に進出した。
 そして創業から15年を経た1975年、現在の主力商品であるストロングライトを開発した。この携帯型照明は前述のとおり大手運輸業や自動車整備工場で幅広く使用され、カスタマーからの信用度は高い。特に、修理が可能で部品を交換するだけで長い年数にわたり使用できることはコスト面で大きなメリットがあるほか、白熱球式作業灯と異なり、蛍光灯を利用することで作業員のやけどや作業対象物を損傷する心配のないことも利点となっている。また、防水性や耐塵性も高く、狭い場所での使用使途が極めて高いことから、木工・機械工場や電気・通信機工事業での需要も高まりを見せている。
 同社の開発は照明だけにとどまらず、1982年にはスーパーリールを開発している。これは電気の技術を応用したもので、天井からコンセントや電源の付いた器具を下げ、工場などで電源を見つけやすくし、片づける必要をなくすなど利便性の向上に役立っている。同社は携帯用照明の分野では圧倒的シェアを誇るが、決して慢心することなくカスタマーのケアを心がけてきた。年間200回を超える展示会出展を通じた情報収集をはじめ、販売を担当する商社に自社の営業マンを同行させるなど、カスタマーからの要望やクレームの電話の中からニーズを正確に収集する仕組みを作ることで、相手の心をつかむ商法に徹している。
 こうしてカスタマーをキープしつつ圧倒的シェアを誇ってきた同社ではあるが、最近この業界にLEDライトの登場という大きなイノベーションが起っている。「saga」のブランド名により積極的な営業戦略を展開しなくても圧倒的シェアを維持してきたが、LEDライトの開発により多くのライバル企業が同業界に参入してきた。こうした状況の変化に経営者である尾曽秀幸氏は強い問題意識を持ち、事業に取り組んでいる。
ライティングジャパン2013で展示される同社のライト

【ライティングジャパン2013で展示される同社のライト】→


 今後の戦略として、蛍光灯からLEDへの代替をいち早く行って自社の牙城を守り、さらにシェアを拡大していくという戦略を明確に打ち出している。これからの事業展開としては、既存製品の改善、改良による顧客ニーズへの対応、飲料水検査など一つの成功事例をより広く展開して市場を獲得するなどがある。同社の製品は事業用でカスタマーの領域は比較的限られていたが、前述の東日本大震災発生に伴う地方自治体と個人消費者の認識の高まりにより、顧客領域が広がる可能性が増しつつある。また、個人消費のレベルでは防災対策にとどまらず、キャンプなどのレジャーや日曜大工での使用など使途の面で広がる可能性もある。
 このように、潜在的に需要を秘めた同社製品ではあるが、経営者尾曽氏は待ちの姿勢にならず、積極的営業を展開する方策を打ち出すことで、同社には多くのカスタマーからさらなる期待が高まっている。