生田精密研磨 株式会社登録番号:0099

 今回のピックアップ企業は、非球面レンズや金属の鏡面加工、研磨等で活躍されている生田精密研磨株式会社の代表取締役、生田徹也さんに話を伺った。
 同社は先代の父親が昭和56年に創業し、平成元年に独立した。最初は平面や球面レンズを扱っていたが、機械の改造や測定の工夫を色々していくうちに、徐々に「非球面」という世界に入り込むようになった。


←【生田 徹也 代表取締役】

 そもそも球面と非球面は何が違うのだろうか。球面はrが一定であり、言ってみれば直線も球面である。非球面は、面の中で何枚かの工程が1枚にできることを応用したものである。非球面レンズのメガネというのを最近よく見かけるが、こうした技術により、レンズをより薄くすることも可能になってきた。
 生田社長は、高校は普通科で、その後大学では経済学部に入り、学生時代に光学を勉強することはなかった。当時は非球面についての研究も少なく、まだ開発する余地は沢山あったという。仕事としても、例えば天体に関する分野での需要もあったが、これは開発に非常に時間を要することとなり、とても商売に結びつくものではなかった。
 最近では研究開発もだいぶ進んでおり、パソコンソフトも出始めてきた。大学での研究も進んでおり、昔は学部すら存在することが稀であったが、光産業創成大学院大学といった、光技術における専門的な研究に取り組む大学が設立され、光学技術に関する教育という側面も関心が高まってきたという。
 同社では、これまでのレンズ研磨に加え、金属鏡面加工にも積極的に取り組んでいる。写真のように、ゴルフクラブの研磨を見せてもらったが、かなり精密に鏡面に仕上がっている。しかしながら、鏡面加工というのは非常に綿密な作業でもあるという。反射光の検査というのもあるが、これがなかなか難しい。1ミクロンの傷があってもNGになってしまうため、それをなかなか見抜ける人も少ないという。
  また、こうした仕事を進めていくにあたっての課題として、ユーザーと加工メーカー、素材メーカー相互の意思疎通がまだ不十分であるという。これら当事者間のコーディネートに関して橋渡しが上手く構築されていけば、さらなる活用の場面は増えていくだろうと期待を寄せている。
 0099_pickup_002.jpg生田社長は、研究開発に取り組みながらも、やはり仕事として受注するために、展示会などにも積極的に出展している。大田ブランド推進協議会の共同出展ブースによる「産業交流展」や「技とテクノの融合展」にも出展し、仕事へのつながりを求めた。「出会ってすぐに受注というわけにはいかないが、色んな人と話していくうちに、ひょんなことからつながることもある」という。また、他のネットワークでも中心的な存在として活躍されており、「おおた工業フェア」をはじめとして、PR活動を積極的に行っている。地道な活動ながらも、こうした技術が様々な分野で応用されていくことを期待している。
 最後に、大田ブランドに対する今後の期待について話をきいた。「もっと(大田ブランドの登録企業は)ブランドを活用すればいいと思う。まだまだできることはたくさんあるし、ブランドを使ってアピールしながらつながりを広げていけばいいのではないか」と生田さん。
 まだ難題の多い鏡面加工、非球面加工という分野であるが、応用の間口は広く、次世代の技術開発には欠かせない要素である。この会社の強みは、設計から製作、加工、検査まで一貫して自社内で行えるところにもある。こうした強みを活かしながら、様々な分野のネットワーク作りを目指している。そこには個性が活かされ、一つ一つの仕事に独自性と創造性が培われている。生田精密研磨の、そして生田社長の活躍がますます期待されるところである。