株式会社 エース登録番号:0094

 今回のピックアップ企業は、「喜ばれるものづくり」「安心を売る」を企業理念に鋳物から樹脂部品、製缶からゲージまであらゆる加工に対応する株式会社エース 代表取締役 西村 修さんにお話を伺った。

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 同社は昭和49年に社長の父が機械総合商社として創業したが、顧客より加工もやってほしいという要望を受け昭和52年に製造部門を設立することとなった。材料調達から特殊表面処理まで一貫した管理体制、全国に100社余りの協力メーカーとネットワークを確立し、バリエーションに富んださまざまな製品の製造を行っている。当初は、専用機や特殊装置を多く設計製作していたが、世の中の動きやニーズに合わせ、精密部品加工に特化していったとのこと。
 社長は、30歳となり同社へ入社するまで、車のセールスマンをしていたという。「図面の見方も分からず、1からのスタート。とにかくやれることは、すべてやろうと考え取り組みました。」と社長。仕事をしながら事業後継のマネジメントスクールに通い、町工場に詳しい一橋大学 関満博教授を師匠と仰ぎ、セミナーや視察見学会など積極的に参加したとのこと。その努力の成果は、同氏が平成19年に社長として就任してから一気に花開く。平成21年には大田区「優工場」に認定され、大田ブランド推進協議会にも登録することとなる。「当社は、取引先のコアな部分の製作を多くやらせていただき、おかげさまで創業35年を迎えることができました。しかし、秘密保持のため製品などのPRが出来なく、知っていただく機会が少ない状況でした。そのような中、大田区「優工場」と大田ブランドを知り、取り組もうと思ったのです。」と社長は語る。また、「私だけでなく、社員のみんなが頑張ってくれました。」という社長、社是に掲げている「周愛信自」「共に歩む」を着実に実行していることがうかがえた。
 同社は、町工場の「営業部隊」として、さまざまな取り組みを行っている。まず一つに、品質管理の徹底である。社内に測定機器を導入し、精度を保証することはもちろんのこと。状況によっては協力工場へ直接訪れ、技術指導まで行っている。また、総合商社としてのノウハウをシステム化して、何千種類に及ぶ製品の工程管理をしている。もう一つは、大田区内にある協力工場には毎日「外回り・横回り」と称して、加工品の配達を行っているという。
0094_pickup_02.jpg 全国ネットワークによるモノづくりが特色である同社にとって、ネットワークの維持・人材育成に関する取り組みを語らずにはいられない。社長は、「若手社員には、技術を身につけたら将来は独立しろ」と言っている。独立した社員に協力メーカーとなってもらい、同社のネットワーク維持につなげる狙いがあるからだ。「いち早く技術を身に着けてもらうため、難しい加工は自社で行っています。」と社長は語ってくれた。また、技術習得のため研修講座へ積極的に参加できるよう受講料・交通費の費用負担し、顧客先のOBを招き自社で講演会を開催している。
 人材育成について、同社の子会社(株)TOUCHの存在も忘れてはならない。先代である社長の父が、後進のためにいつまでも同社に残っていてはいけないという考えのもと、定年退職をした技術者を率いて、技術支援及び技能承継のために設立した会社である。「TOUCHのおかげで、技能承継はうまくいっています。」と社長も絶大の信頼をおいている。
 最後に、大田ブランドに関して社長に聞いてみた。「コスト面で考えるとどうしても地方へ目が向いてしまいますが、大田区でしかできない技術が数多くあると実感させられました。大田区のモノづくりネットワークを絶やしてはいけないと思います。」と答えてくれた。
 株式会社エースは、大田ブランドの掲げる「Only Ota Quality」を実践している企業の1社であることは間違いない。今後、益々の活躍が期待される企業である。