シールエンド 株式会社登録番号:0074

 「今回のピックアップ企業」は、シールエンド株式会社の代表取締役、寺田次朗さんにお話しを伺った。

 「液状ガスケット」を専業として、昭和32年に創業した同社は、社名の由来となった「シール」である液状ガスケットなどを主力製品として用途に応じた製品の開発及び製造・販売を行っている。「シールエンド」は同社のブランド名でもある。ちなみに創業当時はカタカナで表記する社名は珍しかったそうだ。「液状ガスケット」から始まった製品開発ではあるが、その後潤滑剤、接着剤等にジャンルを拡げ、ファインケミカルの総合メーカーを目指し現在に至っている。同社の強みである積極的な製品開発は、トップセールスで東奔西走する寺田さんの姿勢によく現れている。「何よりもユーザーの声によく耳を傾ける。そして企業が何を求め、何に困っているのかを探っていく」と語る寺田さんの丁寧で粘り強いリサーチが開発の源泉になっている。ユーザーの声によく耳を傾けることで、これまで製品開発のヒントがもたらされたことは数知れず。取引先との信頼関係も製品に対する信用と共に醸成されて、新たな開発に向けた情報が得られる。製品開発のための、良好な循環になっているのだ。

 最近はウェブからの新規問い合わせも多い。大田ブランドのホームページを通して同社に、海外からも問い合わせが舞い込む。「だんだん細かい仕様や要求を受けることが多くなり、確かに仕事は厳しくなっています。シールすべき要素(溶液、油剤等)がどんどん進化、改良されていくため、こちらもスピード感をもって対応しないと生き残れない」と語る寺田さんから、中小企業の置かれている危機感とモノづくりの底力が伝わる。結果的に、そうしたニーズを取り入れて、同社の製品ラインナップは時代と共に広がり、取引業者は2000社を超え、日本全国はもちろん、海外にも及ぶ。最近ではフッソ樹脂等の新素材を活用した研究・開発にも意欲的に取り組んでいるそうだ。

 先々代社長の創業者から受けた、「本業は外さず拡大路線で、同時に技術を着実に重ねて行け」の言葉を、寺田さんはいつも胸に秘めている。創業した昭和30年代の当時は、大田区内の製造業は活況を呈していた。右肩上がりの日本経済で勢いがあった。もともと部品加工業が多くを占める大田区内には、同社製品を使用する組立業者が多くあったが、現在ではそのような工場もめっきりと減ってしまった。また、既存のユーザーの海外進出に歯止めがかからないのも減少に拍車をかけている。この流れは大田区に限らず、日本国内にもいえることである。

 0074_pickup_02.jpg互いに切磋琢磨することで、技術的に強い繋がりをもっていた大田区の製造業が弱くなっていることに寂しさを覚える寺田さん。そんな時に「技術を重ねて」の創業者の言葉が思い起こされる。自社の技術開発では精一杯、「技術を重ねて」きた。そんな状況を打破すべく、寺田さんが取り組んでいるのは、大田の製造業の底力を活かした異業種交流である。この大田ブランドもそうだが、減少傾向にある区内の製造業と積極的に交流することで「技術を重ねて」、新たなビジネスチャンスを探っている。

 最終製品である自動車、電機、造船、機械など多くの業種で、同社が扱う製品が幅広く使われている。そのため国内経済のみならず国際経済の影響も大きく影響を受ける。業種の好不況で同社の業績も左右されてきたが、「どこかの業種が悪い時は、どこか他の業種が良い時もある」と寺田さんが語るのは、いかに同社製品が幅広い業種で取り入れられているか分かる。例えば、不動産業の好不況も影響があるそうだ。少し持ち直しつつある不動産業では、新規マンション着工で、湯沸器やガスレンジなどが設置され、それに使われる給水管やガス管などのジョイント部分に同社のシールが利用されているのである。今後は他業種・他分野にも、他社との共同研究によるOEM供給などで、化学品の総合的サプライヤーを目指したいと語る寺田さんの飽くなき情熱はまだまだ続きそうだ。

 最後に、大田ブランドへの期待を語っていただいた。「今後、企業成長の決め手は企業同士の積極的な交流だと思う。特に異業種との交流では気がつかないビジネスチャンスを見つけることができることがある。そしてウィンウィンの関係を構築すること。大田ブランドにもその役割を期待したい」大田区のモノづくりの担い手として、今後、益々活躍が期待される企業である。