株式会社 東新製作所登録番号:0086

 平成20年、東京ビッグサイト。ある展示会の会場で東新製作所の石原取締役幸一取締役(現 代表取締役)は、「大田区」の持つ、思ってもみなかった「ブランド力」に気づかされた。「大田区の工場って、こんなことまでやるのか」。社員時代の石原取締役取締役が自らデザインし、加工した金属製の「デザイン雑貨」を見た人たちの反応だ。口をついて出る言葉は、まず何よりも「大田区!」。もちろん、よい「製品」だ、という自負はある。しかしそれ以上に、多くの人が知っている「モノづくりの大田区」というイメージの力強さに、石原取締役は驚いた。

←【東新製作所が得意とするホッパー(射出成型機の投入口)。このようなホッパーも設計から携わることができる】


「これが他の自治体の名前だったら、インパクトはなかったと思います。」石原取締役は言う。モノづくりに関心のある人は必ず注目する、いわばモノづくりの象徴、大田区。
「大田区そのものがブランドであること、これを明確に打ち出した『大田ブランド』は、多くの人を引きつけるとても効果的なツールです。創業して40年、愛着のある「大田区」を世界に広めたい、と思っています。」大田区優工場の認定を受けた平成21年、満を持して石原取締役は大田ブランドの一員となった。

 東新製作所は、「大田ブランド登録企業の分類上」は「製缶・板金」というカテゴリーに入る。板金・熔接による立体工作物、例えばホッパー、バルブ、タンクなどの製作が得意だ。特に機密性が要求される特殊形状やジャケット付きなど技術が必要とされる製品分野では、長年にわたり顧客の信頼を得ている。まさに生え抜きの「大田ブランド」である。しかし、今の東新製作所は業種のカテゴリーだけでは語りつくせない。受注から出荷まで一貫したモノづくりの提供ができること、これが東新製作所の「ウリ」だ。開発段階からモノづくりに関わることによって、設計途中での製品改良やコストダウン提案を通じ、クライアントの満足を高めることができるのだ。しかし、石原取締役の視線はもっと遠くを見据えている。
  0086_pickup_02.jpg「どうしたら自分たちのモノづくり、次世代のモノづくりができるのか、常に考えています。」石原取締役によれば、開発、設計段階から関わるということは、「モノづくりに責任をもつこと」だという。

【コスト削減提案に基づく再設計にも対応】→

 「なぜなら、設計がまずければいい製品はできない。ただちにクレームです。」その他の工程も同じだろう。製造プロセス中の全局面で良い製品を作る努力をしなければ、受注から出荷までという長いスパンの責任を負うことはできない。とはいえ、技術の裏付けがなければ、取ろうにも取れないのがモノづくりの責任だ。そこは「大田区」。分厚い技術の集積がある。問題は、この豊富な技術をいかにくみ上げ、継承していくか。石原取締役はこの課題を解決するために、「ネットワーク」に注目した。
 「モノづくりに携わる人は考え方がクローズになりがち。色々な人と出会って己を磨く場を提供したかった。」平成20年、石原取締役は同じ志を持つ仲間と「おおたGROUP NETWORK」を立ち上げた。もちろん共同受注のような成果も狙うが、まず、モノづくり企業が連携を取り、情報交換や技術の向上を通じて、それぞれの企業の経営力を高める、そんな持続性のあるムーブメントにしたい。石原取締役はその中心となって、ネットワークを引っ張っている。
 石原取締役は今、「ミクシィ」や「フェイスブック」といったソーシャルメディアを活用した新たなものづくり連携構想を温めている。「ソーシャルメディアの中にはまだ「ものづくり」という切り口は少ない。ここに「大田区」の存在を示すことで、思ってもみなかった交流が芽生えるかもしれません。」

 大田区に根づいてものづくりの遺伝子を受け継ぎながら、なお臆せず新たな局面にも切り込んでいく東新製作所。ここにも「ONLY OTA QUALITY」を体現する企業がある。