株式会社 弘機商会登録番号:0081

 今回のピックアップ企業は、リベッティングマシン(スピンカシメ機)の専門メーカーとして、装飾品から建築部品まで幅広く取引を行い、「カシメのコーキ」というフレーズが印象的な株式会社弘機商会 代表取締役社長の高原隆一さんに話を伺った。

 同社は昭和7年に京橋区木挽町(現在の銀座)で商社業として始まった。その後、昭和26年に大田区へ移り、株式会社弘機商会を設立。高原社長は4代目の社長として就任した。30代の社長で非常に若い経営者である。

 リベットティングマシンとは、リベット(鋲)の頭を塑性変形させる機械のことで、出っ張りと凹みを結合させて外れないようにすることができる。パイプの外周を押し広げたり、フタをして外周を内側に絞りこむ事を行う。ポンチの形状により、山形・丸形・ハトメ形など、色々なカシメの形が可能となる。この技術はカメラや洗濯機、冷蔵庫といった家電用品や自動車、精密モーターの組み立て部品、釣りのリールなど、様々な製品に用いられている。昔は郵便局員が持ち歩いていたカバンにも使われていたとのこと。

 リベットは産業の変化とともに取り扱う製品も少しずつ変わっていき、その時代ごとにニーズがあったという。今でも様々なお客様のニーズがあり、服飾メーカーや医療機器、航空産業など、幅広い業界との取引があるようだ。「視野も広く持ちながら、常に可能性を探っている。大変なことはあるけれど、面白い部分も多い」と高原さんは語る。始めは打撃式のリベッティングマシンとして開発を始め、特許も多数取得してきた。その後、より堅牢で丈夫なカシメ機の開発にも力を入れ、空圧式精密カシメ機が40年前に開発された。シンプルな構造なので耐久性は非常に高いという。0081_pickup_02.jpgそして最近は、電気による数値制御も行い、より正確に精密にリベッティングが可能なサーボモーター式のカシメ機を開発している。こちらはより複雑な部分にも対応でき、省エネにも優れている。顧客のニーズにも柔軟に対応できるため、多様な分野に進出できる。
  ただし、課題は幾つかある。一つは耐久性。サーボカシメ機はまだ開発されて間もないので、長期的に耐用できるかは未知の部分もある。高精度かつ耐久性も高い事を証明していくことが重要となってくる。また、価格面においても、開発費用に大きなコストがかかっているので、コスト削減にも努めていくことも今後の課題として挙げられていた。

 そして、会社としての大きな課題は技術の伝承である。現在いる職人も高齢になってきているので、後継者の育成に高原さんは力を入れている。ハローワークの制度なども使いながら、若手社員に教育の時間を設けている。数値化できるところは数値化し、NC加工で対応できるものは対応する。それでも数値化できないものは残るので、それは直接伝達しているという。このような課題を一つ一つ乗り越えながら、新しいステップに少しずつ進んでいる。
「今後はサーボカシメ機を積極的に売り込んでいきたい。そのために外に出て、色んな情報をとるようにしている」という高原さん。世の中の動きが激しくなってきているなかで色んなニーズを汲み取るには、積極的に外に出てアピールをしていかなくてはならない。「大田工業フェアにも出展しているが、もっと他の展示会にも進出したり、認知度を高めるための普及活動にも取り組みたい」と高原さんは力強く語った。また、大田ブランドの登録も貴重なPR の一つとして活用しており、「他企業とのネットワークにも有効的であり、価値を高めていきたい」と高原さん。

 カシメの分野は競合も少なく、トップランナーとして、先駆的にやっている意識も強く持っている。「カシメを知らないお客さんも多い」と高原さん。カシメを使うことで、苦労して40時間も時間をかけて行っていた作業が4時間でできた事例もあったという。様々な実績をつくりながらサーボカシメ機の普及に努めている。

 色々な製品に使われているカシメの技術。弘機商会の役割は非常に大きなものがあり、苦労する面も多くあるが、それ以上に、大きな可能性を秘めている。今後の益々の活躍に期待をしたい。