株式会社 昭和製作所登録番号:0029

 今回のピックアップ企業は、創業以来、材料試験片、非破壊材料試験片の確かな技術と経験をベースに、特殊精密試作部品や治具などの製作にも力を注いでいる株式会社昭和製作所 常務取締役 舟久保 利和さんにお話を伺った。

←【材料試験片と超音波探傷用試験片】

 同社は昭和25年に常務の祖父が個人創業し、昭和27年に株式会社組織となった。常務曰く「祖父は周りの人からは学者と言われ、失敗も恐れず何度も挑戦する人」であったとのこと。以来、試験片一筋59年の実績を積み、その技術を生かし常時200種類以上の案件を取扱い、バリエーションに富んださまざまな製品の製造を行っている。
 一般的に非破壊検査という言葉を聞いた人は少ないかもしれないが、意外にも私たちが身近で行っているものもある。例えば、スイカを叩いて中身を調べることや、健康診断などでX線撮影し調べることも非破壊検査の一部である。工業の高度化に伴い、高品質でより安く、しかも安全な製品が求められている。そのため、不良材料の早期発見、不良の生じない加工方法などを検証できる非破壊検査は、産業界には必要不可欠なものとなっている。同社は、社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI)の教科書ともいえる検査結果の指標となる超音波標準試験片を製造している。その他には、研究開発に使われることが多いため、トップシークレット扱いとされ、試験方法や材料成分の詳細を教えてもらえない状況下で加工・製造依頼がくることもあるという。「毎回、新しいことに挑戦しているようなものです。」と常務の口調からは、創業時から続くチャレンジスピリットが脈々と受け継がれていると感じずにはいられなかった。

 同社は創立60周年にむけ、新たな取り組みを行っている。まず一つは、技術のコラボレーションである。今まで別々であった精密加工と拡散接合という技術を融合させ、「超音波探傷用内封きず型対比試験片」を実用化する直前まできている。この新しい融合技術を実用化させれば、今までにない検査精度を達成し、さらにはコスト削減ができるとのこと。もう一つは、提案型営業の強化である。同社 0029_pickup_02.jpgは、もともと「face to face」を基本とし、新素材の問題、課題解決を短納期・高品質で行っているが、さらなる高みを目指している。今度は使う側の立場に立つことを目的に、同社の製造技術者へ非破壊検査に必要な資格を取得させていくという。「これまでのノウハウと製品を使用する側の立場を理解し、顧客満足度を高め付加価値の高い製品を作り、素材や製品そのものの検査にも役立てたい。」と常務は言う。

【工場内にて:舟久保 利和常務取締役】→
 

 同社は、平成15年度大田区「優工場」のまちにやさしい部門賞、平成17年度「東京都中小企業ものづくり人材育成大賞知事賞」奨励賞を受賞し、地域貢献と技能継承・人材育成に関することにも余念はない。若手社員の能力開発のため、技術的な研修講座へ積極的に参加できるよう受講料・交通費の費用負担など環境を整えている。
 地域貢献に関して「周囲との共生なくして当社は存立できないと思っています。」と常務は語る。同社は、地域の小中学校の工場見学を受け入れ、また、工業高校等のインターシップにも協力しているとのこと。地域の町工場として親しみをもたれて存在する同社。参加した学生の中から、大田区の「未来職人」が生まれるかもしれない。
 株式会社昭和製作所は、大田ブランドの掲げる「Only Ota Quality」を実践している企業の1社であることは間違いない。今後、益々の活躍が期待される企業である。