株式会社 室賀シボリ登録番号:0017

 今回のピックアップ企業は、株式会社室賀シボリの代表取締役会長、室賀正典さんにお話を伺った。

← 【代表取締役会長 室賀 正典さん】

 同社は、昭和36年室賀会長が大田区西蒲田で室賀絞製作所として創業。昭和39年に有限会社室賀絞製作所設立、昭和49年10月に業務拡張により現在地(大田区矢口2丁目)に本社工場を建設、平成元年株式会社室賀シボリとなった。創業以来一貫して熟練した職人によるヘラ絞り加工の技術を駆使し、金型製作はもとより、木型製作等試作から量産まで対応してきた。
 ヘラ絞り加工とは、平面状あるいは円筒状の金属板を回転させながらヘラと呼ばれる棒を押し当てて少しずつ変形させる塑性加工の手法の一つである。ヘラに伝わる感触で素材の変形状態を確認し、ヘラに加える力を加減しながら加工する必要があることから機械化は難しく、熟練工の存在は必要不可欠である。
 同社は、「ひたすらにシボリ加工の粋を求めて」をモットーに、ヘラ絞り加工については「丸く立体曲面のものであれば殆ど対応可能。ステンレス・鉄・アルミ・銅はもとより、チタン・タンタル等、特殊金属も何でも挑戦するのが当社のスタイルであり、経験豊富な職人が航空部品から日用雑貨までありとあらゆる業種・製品に対応しています。」と室賀会長は目を輝かせて話す。
 本年の5月1日で創業50年にあたる同社は、「従業員とその家族が幸せになる事」をポリシーとしている。創業当時の職人から20代、30代、40代、50代と全ての年代が揃い、「現在の15名体制で、ベストの布陣になりました。」と会長は胸を張る。会長の言葉を裏付けるものとして、平成12年度には、人に優しい、まちに優しい、技術・技能及び経営に優れた工場としての証である大田区「優工場」に認定されている。
 0017_pickup_02.jpgまた、平成15年には創業当時からの職人である大久保賀造さんが、初代「東京マイスター」に認定された。「東京マイスター」とは、都内に勤務する技能者のうち極めて優れた技能を持ち、他の技能者の模範と認められる人を東京都優秀技能者として知事が認定する制度である。「常にお客様の事を考えて、満足いただける製品に挑戦し腕を磨いてきた事が認められ大変うれしく思います。」と会長は語り、賞状を社内に掲示している。

【「東京マイスター」の賞状を掲示】→


 社員教育についても積極的で自ら進んで難しい加工に挑戦するスタンスでないと同社では通用しない。やる気があり、先輩の職人に自らどんどん質問し、数をこなす社員には次から次へと難易度の高い仕事をまかせ技術力を高めている。この経験を積むことにより、職人(社員)の成長と共に今まで当社もレベルアップしてきましたと会長は言う。会長は謙遜されあまり多くは語らないが、経験の浅い社員が一生懸命に取り組んで、通常2時間3時間で製作できるものを2,3日かけてやらせる事に意義があり、モノづくり(仕事)に対する楽しさ・奥深さを知った上で成長して欲しいという社員に対する強い想いがある。
 日本経済の厳しい現状に同社も少なからず影響を受けてはいるが、「景気・不景気に関係なく、常にお客様のところに顔を出して本当のニーズを掴み、当社についてもよく知ってもらう事できちんとした信頼関係を築く、これを重要視しています。それが顧客第一主義だと思っています。」と気概をもってモノづくりの王道を突き進んでいる大田区を代表する企業である。
 株式会社室賀シボリは、大田ブランドの掲げる「Only Ota Quality」を実践している企業の1社であることは間違いない。今後、益々の活躍が期待される企業である。