株式会社 ジャンボ登録番号:0093

「今月のピックアップ企業」は、特殊印刷を活かした商品企画・製造・販売を手掛ける、株式会社ジャンボ会長 村上博さんにお話を伺った。  

 会長は石川県金沢市の出身で、中学卒業後に金箔などの資材や印刷機械の販売・メンテナンスを営む会社に就職。東京支店に転勤した昭和40年に転機が訪れる。当時の取引先から「名刺ホルダーへの印刷を外注したい」との話があり、印刷機械を販売・メンテナンスしていた経験から独立を決意。

その取引先の社屋の半坪ほどのスペースを間借りし、1966年に個人事業主として創業。創業当初の売上は、その取引先からのみであったため、1ヶ月のうち機械が稼働するのは10日間であった。  残りの日は営業活動に奔走。その結果、消火器部品メーカーから消火器の安全栓へのホットスタンプ印刷に関する受注を安定的に受けるまでになった。紙→プラスチック→ビニール→...と、印刷可能な素材の種類が増えるにつれ、同社の提案が受け入れられるようになった。また、印刷のマーケットは年々拡大していたため、同社も化粧品やカメラ部品等、その時代の代表的な商品に携わった。  

追い風が吹く状況の中で、同社では、新たな取組としてFD(フロッピーディスク)への特殊印刷に注力、高額な設備を導入し、売上を伸ばしていた。更に設備を増やそうと考えていた時に参加した勉強会で会長(当時は社長)はあるコンサルタントの一言をきっかけに設備の導入を見送り、「経営とは人を守り、お客様を守り、税金を納め、地域に貢献することである」と考え方を180度転換した。需要と供給のバランスが絶えず激しく変化している時代においては、顧客が満足するような提案を次々に打ち出していかなくてはコスト競争に巻き込まれてしまう。一歩間違えば悪循環に陥ってしまったかもしれない状況下で、会長は『経営者の本質』、『人間の本質』を見つけたのである。

中国をはじめとする東アジア諸国は、生活水準が向上し続けており、同社も新たなマーケットとして高く期待している。地域ブランド、自社ブランドといった"違い"が高く評価される時代においては、顧客をはじめとしたステークホルダーに尊敬され、認められるモノづくりをしていかなくてはいけないと決意を新たにされている。

0093_pickup_02.jpg今後は、立体印刷という同社の技術力を活かし、事業の『再創造』をしていきたいとのこと。単なる利益追求ではなく、既存商品とは異なる視点に立った、オリジナルでユニークな高付加価値の商品の創造を通して、地域の活性化に寄与したいとの思いをお持ちである。経済環境が厳しい今だからこそ、そのような創造=チャレンジが求められている。会長からはその実現に対する並々ならぬ決意が感じられた。

同社は、大田ブランド登録企業である株式会社パパスと協力し、大田区の犬鑑札と注射済票の製作に携わった。これまで蓄積してきた印刷技術を活かし、素材に関する提案を行った。丈夫で軽いポリエステル繊維及びチタンへの印刷である。その結果、デザイン性が高く、犬にも人にも優しい犬鑑札と注射済票が完成した。これから大田区内で犬を見た時は是非その首元に注目してほしい。

会長は登録後、大田ブランド視察会に参加した。『理想的な工場』を築き上げた視察先企業の代表者の話に感銘を受けられ、『個性力』ならぬ『人間力』を強く感じられたようだ。登録企業同士の付き合いや絆を垣間見ることができ、「大田ブランドに登録して良かった」とのことであった。常にチャレンジを重ね、個性を活かした提案を続ける同社の今後の展開から、益々目が離せない。