前場電機 株式会社登録番号:0030

代表取締役 前場弘氏

 今月のピックアップ企業は、理化学機器製造の前場電機株式会社の代表取締役 前場弘さんと息子である専務の善幸さんにお話を伺った。同社は現代表の父が鵜の木で昭和28年に創業した、元々プレスを得意とし、金型や部品の製造を行っていた企業である。しかし、「プレスだけでは今後は生き残れないのではないか」という考えと「何でもチャレンジしていこう」という決意のもと、持ちかけられた仕事は断らずに挑戦をし続けた。その結果「プレスだけでなく、板金から彫刻、印刷、アッセンブリーとすべてを自社で行う総合的な前場電機ブランド」を構築していった。「うちは専門がないのが特徴だから『何を作っている』とは言えないかもね、逆に『何でもできる』が特徴なのかな、『困ったら電話してよ』、そういう会社だね」従業員は一桁と少ない中でも一致団結してモノづくりを行っていく小回りの利く会社であるが、なぜ何事にもここまで挑戦することとなったのだろうか。

 転機となったのが約20年前に製造した燃料電池。わからないことだらけであったが、0030_pickup_02.jpgどうしてもできないところは協力企業に依頼をしながら完成することができた。その技術と姿勢が認められ、企業から試作品など難しい単品の仕事がくるようになった。試作は量産の前段階だから、前例がない場合も多い。それを形にしていくには入念な打合せ、そして信頼関係が必要だ。まして技術的には未知の部分が出てくることもあるので、技術や材料についての広範囲な知識も要求される。まさに今までにない"一品"をつくらなければならない。しかし弘さんはそうした難しいモノになればなるほど、"モノづくりのプロ"の血が騒いでくるようだ。

<図面なしで試作品を製造した小動物実験台>→

 「1点、1個、喜ばれる作品作りが目標。現在、うちのお客様は主に大学や企業の研究機関で、試作段階での評価装置や試験装置の製作が中心です。そのため多くの場合1点のみの製作となるので、常に新たな挑戦となります。当社ではお客様にご満足いただけるものを提供するために、日々知識の吸収と技術の向上に努めています。そして、それらを積み重ねることにより仕事の巾が広がり、将来の発展につながると考えています」

0030_pickup_03.jpg 話の節々に「モノづくりのプロ」としての自覚と責任を感じさせる言葉が出てくる。難しい課題だからこそ取り組みたい。そしてお客様には予想以上の出来上がりの製品で喜んでもらいたい。「量産のモノは物流が良くなっている現在では海外との価格競争では負けてしまう。そのようなものより前場電機にしか対応ができないモノ、負けないモノを作っていきたい」

←<現場で作業を行う善幸氏>

 1点、1個からの受注の為、当社に依頼が来る製品は設計図がない。大抵はポンチ絵であったり、言葉だけのイメージであったり。そのような中から一つ一つ部品の図面を起こし、製品として形づくっていく。長年の経験だけでなく、知識力、想像力、発想力など複雑に絡み合うことで製品ができる。だからこそ、現在でも大学の研究室や大手企業から試験装置などの試作の依頼が舞い込んでくる。お客さんがお客さんを呼び、また、リピート率も高いことも当社の総合力の高さがここに証明されている。「仕事の性質上、あまり表舞台に登場することはありませんが、数年後には世の中を変える可能性があるような新しい技術開発に携わるのは、"モノづくりのプロ"として楽しいことです」

 前場電機が製造する試験装置は大学や研究機関での新たな発見に結び付く陰の功労者。そして今後も、同社の発想力、技術力が日本の新たなモノや発見を生み出す原動力になっていくに違いない。