富士電建 株式会社登録番号:0087

 今月のピックアップ企業」は、各種制御盤の設計・制作・配線施工をトータルに手掛けている、富士電建株式会社代表取締役 鈴木正彬さんと技術部部長 石川達哉さんにお話を伺った。

 同社は、1982年に鈴木社長が創業、創業のきっかけをお伺いし、少し驚いた。
 当時、設備工事会社に勤務していた鈴木社長は、現場での試運転中に装置が作動しないというトラブルに見舞われる。その日は土曜日であったため、制御盤メーカーの担当者には連絡が取れなかった。しかし、始動を翌日に控えていたことから、鈴木社長は制御盤に関する知識や経験がほぼ皆無であるにもかかわらず、夜を徹して電線をつなぎ直し、10時間以上を要し、5時に復旧にこぎつけたのである。

 その経験がきっかけとなり、先輩経営者から制御盤に関する助言を受け、勉強を重ね、創業に至ったとのこと。温厚な鈴木社長が内に秘めている事業への熱意がこのエピソードからも垣間見られる。

 創業後の約20年間は取引先の数や取引先毎の取引金額のバランスが取れていた。しかし、その後の3年間にある企業との取引を集中的に行った結果、人件費や外注費の増加に伴う利益率の低下が課題として表れた。

 そこで、体質の転換を図るべく、3年程前から改革に着手した。昨今は、昨年秋から続く世界的な不況により、設備投資が抑えられ、同社を取り巻く外部環境は依然厳しさを残しているものの、社員一丸となって改革を継続している。
 
 同社の強みは、若い人材である。後継者問題に悩む経営者が多い中、鈴木社長は取引先への訪 0087_pickup_02.jpg問に若い社員を同行させ、取引先に安心感を抱いていただくように心掛けている。また、社員一人ひとりが自身の能力を最大限発揮すべく、自己研鑽に励むのはもちろんのこと、自ら社長に自身の希望の役職を進言し、責任ある立場で業務に取り組んでいる。
 社員への積極的な権限移譲がコミュニケーションを活発化させ、同社には、改革の達成に向けた好循環が生まれている。社員を温かく見守る社長の姿勢、そして、社員の自主性が同社の発展を推し進める原動力となっている。

 現在、同社では、自社にて設計・開発・製作した制御盤『TURTLE STANDARD(以下、タートルスタンダード)』の営業活動に力を入れている。タートルスタンダードは、顧客のニーズや同社の経験を元に開発された制御盤である。

 各種機器とタートルスタンダード間は、これまでに比べ少ない本数の電線で接続可能であるため、 工事期間の短縮や省力化が実現される。タートルスタンダードは食品や化粧品等の比較的生産ラインが長い装置間の接続に適している。同社には、今後、販売実績を積み上げることにより、タートルスタンダードを商品の核としていきたいという目標がある。現在は「まだ卵」であるタートルスタンダードの今後の成長が期待される。

 大田ブランドに登録したのは、異業種の企業との交流や情報交換をしたいとの思いを持った若手社員からの提案がきっかけである。今年5月に大田ブランドに登録した同社は、イベントへの参加等を通じて、他の登録企業との交流を深めている。今後も登録企業同士がwin-winの関係となるような交流を望んでいる。

 社長は「一期一会」を「いっきいっかい」と読み、独自の解釈で「一生のうちに出会った人とのお付き合いを大事にしたい」と常に考えている。同社を訪れると、いつも気持ちの良い挨拶に迎えられる。社員がいきいきと働く同社の今後の展開から、益々目が離せない。