株式会社 シンシ登録番号:0055

株式会社シンシ 前田取締役社長

 旭山動物園あざらし館の「マリンウェイ(円柱水槽)」、葛西臨海水族園の「マグロ回遊水槽」やしながわ水族館の「トンネル水槽」など、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでだろうか。
 「今月のピックアップ企業」は、水族館の巨大水槽でプラスチック板加工業界を常にリードしてきた株式会社シンシの取締役社長 前田和秀さんと常務取締役 加納識顕さんにお話を伺った。

 同社は昭和27年創業。創始者の田中信二氏がアクリル素材に魅入られ、当初からアクリル加工技術を日々磨いてきた。現在もその意志・熱意は受け継がれ、同社の重合接着及び厚板加工技術によってできる巨大アクリルパネルは国内水族館では60%シェアを占める。また、世界の水族館でも多くの自社製品が利用されている。同社のような巨大アクリルパネルを製造できる会社は、世界で見ても他に2社のみ。まさにオンリーワン技術だ。巨大水槽で動物の優雅な動きを見ることができるようになったのは、同社の技術があったからと言っても過言ではない。
 ※重合接着:シラップ状のアクリルモノマーの半重合品を使用し、コントロールされた室温下で重合反応を促進させ、両側のアクリルと一体化する接着方法。透明度を失わず、十分な実用強度と長寿命が得られる接着方法で、同社が他に誇る得意技術である。

0055_pickup_02.jpg 同社は「独創の技術で形を創る」を掲げ、水槽だけでなくさまざまなプラスチック製品に携わっている。例えば、高速道路・駅やガソリンスタンドの看板、ゲーム機の筐体、ビルの屋上などにあるトップライト、さらにはファッションビルのアクリルカーテンなども同社製品の一つ。我々の生活で身近にある同社製品であるが、その製品の中には凝縮された技術と様々な要求に答える対応力が詰まっている。
 
 アクリル加工業界での信頼性の高さも同社の特徴だ。「困ったときのシンシ」と頼られ、急遽発注したい案件などの依頼が多いそうだ。同社はISO9000、ISO14001を取得しており、品質保証、環境への取組みも実践し万全な体制が整っているため、安心して依頼できるのだ。前田社長は「都内に工場があるため、迅速な対応が可能となっています」と胸を張る。こういった短納期、高品質に取組む日々の姿勢が周囲の信頼を得た理由だと感じた。

 また同社は、職人芸ともいえる独創技術を支えるため、人材育成にも力を入れている。日々のOJTからなる技術継承は当然ながら、危険物処理、秘書検定、簿記などの資格取得も支援し、さまざまな案件に対応できる働きやすい環境を作っている。

 株式会社シンシは、大田ブランドの掲げる「Only Ota Quality」を実践している企業の1社であることは間違いない。今後、益々の活躍が期待される企業である。